幻月42

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 それより良太だ。
 あのバカ、また向こう見ずなことをしなければいいが。
「小田、良太に言っておいてくれ。仕事のことだけ考えて向こう見ずなことはするなってな」
「ああ、それは俺も危惧している。言っておく」
 接見を終えた小田は、最後の工藤の顔が気になった。
 異様にクールダウンした気がする。
「しかし、万が一などふざけるなって」
 車のエンジンをかけながら、普段温厚な小田がイラついてハンドルを拳で小突いた。
 二四六に入った時、ハンズフリーにしている携帯が鳴った。
「先生、男の素性がわかりました」
 調査員の遠野だ。
「わかった、すぐ帰る」
 オフィスに戻ると遠野と司法書士の安井が小田を待ち構えていた。
「どうも、お邪魔してます」
 谷川だった。
「谷川さんが探し出してくれたんです」
 勢い込んで言った遠野が、パソコンの画面に男の写真を何枚か並べた。
「昔俺に協力してた情報屋がこっちにいる知り合い経由で男の素性掴んでくれました」
「ありがとうございます」
 礼を言って小田は画面をのぞき込んだ。
「木戸彰、三十五歳、詐欺、暴行、恐喝の前科あり。二度ほど刑務所に入ってます。田口紀佳とは高校の同級生で、近年再会しどうやらここのところは田口のひも状態で田口の部屋に入り浸っているようです。一方友成は金曜日に田口の部屋を訪れています」
 遠野は木戸について説明した。
「今、千雪さんのダチと俺のダチとで木戸と田口の双方に張りついています」

 


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