幻月48

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「知り合いの男に事情を聞いている、か。つまり決め手にかけるってことだな」
 ネットのニュースから藤堂は事件の概要を把握した。
「当り前じゃない! 工藤さんがそんなことするはずないじゃない」
 ちょっと直子の声が上ずった。
「いやもちろんもちろん。それにその二人の話からも、完全に工藤さんをクロにできない何かがあるんだろう。当然、否認しているだろうし」
 藤堂は一人頷く。
「うーん、とっくに名探偵コナン氏も動いているだろうけどね。小田弁護士もついているから」
「そうなんだけど、やっぱりさっきの刑事の話、気になる。でもおそらく会社では緘口令がしかれてる。良太ちゃんにまともに聞いても教えてくれないと思うし………」
「直ちゃんとしては、何か役に立ちたいと思っているわけだ」
 藤堂の表情は段々渋くなる。
「この店、行ってみようかな」
 唐突にそんなことを言い出した直子に藤堂は慌てた。
「おいおい、カフェとかじゃないよ、クラブだよ?」
「わかってるわよ。ちょっと考えがあるんだ」
「ダメだよ、危険なことは」
 藤堂は直子を窘めるが、直子の中ではとっくに何かを実行しようとしているらしいことは付き合いも長くなってきた藤堂にはよくわかった。
「大丈夫よ、またこの店で殺人事件とか、ないって」
「冗談じゃありません。こういうところに潜り込めそうな女なら約一名知ってるから、待ちなさい」
 ポケットから携帯を出すと、藤堂は番号をタップした。
「俺だ。今、どこにいる? ……何? で、いつこっちに。……わかったよ、クソ」
 イラつきながら電話を切った藤堂を見て、「ひょっとして海外でしょ? さやかさんね」と直子は言った。

 


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