幻月74

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 そこへ京助や辻が啓と仲間の淳史が縛りあげた木戸を連れて現れた。
 後ろからグローブをはめた千雪が買い物用ビニール袋に何かを入れて持ってきた。
「証拠品」
 木戸は誰にどれだけ殴られたのかわからないが、頬は腫れあがっている。
 ただ疲れ切って言葉も出ない様子だった。
「ひどいな、それけん引用のロープ?」
 藤堂が誰にとも言わず尋ねた。
「うっかりして、これしか車になくて」
 京助が言った。
「こいつ田口がやったって吐いたぜ。とっとと警察に引き渡すぞ」
 携帯に木戸の吐き出した言葉を京助は録音していた。
「さっき、捜査一課の渋谷さんに、真犯人捕まえたよってはよ来いて知らせときました。ついでにもう一人、死体が埋まってたて」
 千雪はビニール袋をあまり触りたくないという顔で遠ざけたまま、そう言った。
「そりゃ、手際がいい」
 谷川が苦笑した。
「それから、田口と友成が高跳びするか知れんても言うときました。さっき田口張ってた遠野さんから連絡あって」
 良太も千雪から男らを捕まえたからもう来てもいいという連絡を受けて、開け放たれたリビングに現れた。
「良太ちゃん!」
 顔を見るなり直子に抱きつかれて良太も思わずぐっと抱きしめた。
「よかった………」
 それしか言葉がない。
 ただ、ここにいる面々が知らないことが一つあった。
 連絡係を仰せつかった良太は一人車で待っていたが、後ろのドアが開いたような気がして振り返ると、そこにいつの間にか座っていた男を見て驚いた。

 


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