幻月9

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「違うんです、それが……殺人の現行犯とかって」
「何、言ってるのよ、そんなバカなこと、あるわけないじゃない!」
 アスカが声をあげた。
「誰からだったんだ?」
 秋山が聞いた。
「千雪さんです」
「え………」
「麻布警察署に連行されてるって」
「ウソ………」
 アスカは両手で口元を覆う。
「とにかく、俺、これから行ってみます」
「あたしも行く」
「君は送って行こう。妙に騒ぎ立てない方がいい」
 秋山は青ざめた顔のアスカを諭した。
「小田さんも警察に行ってるそうです」
「そうか。だったら、とにかく、何があったのか、はっきりしたところを聞かないことにはな」
 小田は工藤の大学の同期で、青山プロダクションの顧問弁護士でもある。
 良太は工藤が連行されたということに愕然としていたが、無論殺人などあり得ないと自分の中で強く否定していた。
 良太は麻布警察署で秋山と待ち合わせることにして、駐車場に向かった。
 だが、ここにきて、なぜ、千雪が連絡してきたのかという疑問がわいた。
 小田は無論工藤が呼んで当然なのだが。
 たまたまあの捜査一課の渋谷刑事と千雪が会っていて、それでとか?
 不安な面持ちのまま、良太は車のエンジンをかけた。 

 


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