「…直ちゃんおススメの絶対起きる曲………」
ボソリと良太は呟いた。
「お前ひとりの時だけにしろ」
むっつりとした顔で先に起き上った工藤はバスルームへと入って行く。
「ちぇ……何だよ、勝手に来たくせに」
しかもお陰で身体がガタガタで、良太はまだ動く気になれない。
頭もまだ完全に覚めていない。
だがここでまた毛布に潜り込んでしまうと、二度寝する可能性大だ。
携帯を見ると八時半を過ぎている。
工藤、今日は出ずっぱりだって言ってたな。
どうせ、起きなきゃじゃないか。
良太は絨毯の上に落ちているジャージを拾い上げて着ると、やっと起き出して、キッチンに立った。
まずはお皿の前にちょこなんと座って腹減ったの圧をかけてくる猫たちのご飯が先だ。
猫たちがハグハグと食べ始めるのを見た良太は、工藤に何か食べさせないとと、プライパンに卵とベーコンを入れ、冷凍のブロッコリーをレンジで温める。
コーヒーメーカーにコーヒーをセットすると、皿やマグカップを用意する。
オーブントースターにパンを入れ、工藤が出てきたらすぐに焼けるように準備しておく。
温めたブロッコリーとベーコンエッグは、前回のスキー合宿の時に京助が教えてくれた良太でもできる簡単朝食レシピだ。
忙しい時はトーストとコーヒーだけで済ませることが多いが、朝食などパスしてきた工藤には無理にでも食べさせないと、やがて何かしらの弊害が出てくるかもしれない。
「お前が作ったのか?」
バスルームから出てきた工藤がキッチンのテーブルに並んだベーコンエッグやブロッコリーを見て、いかにも意外そうに言った。
「俺だってこのくらいはできる。ちゃっちゃか食えば?」
良太はムッとして焼けたパンをトースターから取り出し、コーヒーを置いた。
工藤はフッと苦笑いしてバスローブのまま座った。
良太も向かいに座ってベーコンエッグをつついた。
ちょっと焦げ過ぎたが、卵は崩れていない。
「このくらい、千雪でもできる」
京助の言葉を思い出して、千雪がどれだけできないかを再認識した。
でもカレーはできるって自慢してたな、千雪さん。
部活の合宿で作らされたからみたいだけど。
俺も、他に何か作ってみようかな。
工藤は少なくとも俺よりまだ料理ができることは知っている。
昔、軽井沢で平造がいない時パスタを作ってくれたことがある。
「やっぱ、そこの壁をぶち抜くか」
食べ終わってコーヒーを飲みながら、工藤がボソリと言った。
バスローブでドアを出て隣の部屋のドアを開けるまで、冬は外の廊下が寒い。
服を着るのは面倒だ、良太にも何が言いたいかはわかる。
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