ほんの少し届かない16

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     act 4
 
 
 その日、世界自然遺産を追ったドキュメンタリー番組『知床』の編集作業で良太は下柳らスタッフと朝から一緒にスタジオに入っていた。
 ちょうど一休みだと下柳とスタジオを出たところで良太の携帯が鳴った。
「今年はイブのクリスマスパーティ、河崎んちでやるから、おいでよ」
 携帯の向こうから聞こえてきたハイテンションな声の主は、広告代理店プラグインの藤堂である。
 藤堂と同じくプラグインの西口、最近古巣のジャストエージェンシーから独立したばかりのクリエイター佐々木とは、秋口から進行中の日本橋呉服問屋大和屋の広告関連でここのところちょくちょく顔を合わせている。
 大和屋といえば東洋グループ次期総帥綾小路紫紀夫人小夜子の父親が社長を務め、小夜子も広報担当として実家の事業にも携わっている。
 年明けの展示会や着物ショー等のイベントやそのCMは現在放映中だが、綾小路小夜子から良太経由でプラグインに持ち込まれたプロジェクトである。
 青山プロダクション所属タレント中川アスカや南沢奈々、小笠原を起用し、ローカルとは思えない反響を得ている。
 三人は着物ショーにも出演予定だが、モデルだけでなく、各界の著名人にも出演を依頼するというかなり大掛かりなものだ。
 ドキュメンタリー番組だけでも手一杯な上、このプロジェクトとパワスポ、さらに細々した雑用もあり、工藤に負けず劣らず今の良太には休む暇がない状況だ。
「イブですか~。今年はちょっと仕事がどうなるかわからなくて」
 番組は次の春にMBCで放映予定で、年末は詰めの作業のために予定を立てにくい。
「今回は大人な雰囲気でやるつもりなんだ。美味しいお酒やお料理やスイーツはもちろん沢山用意するし、軽く立ち寄ってくれたらいいよ。二十四日の夜から二十五日まで『サンタ’s Bar』ってとこ? 時間無制限ね」
 楽しいことを企画提供するのが大好きなイベンター藤堂が嬉々として言った。

 


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