ほんの少し届かない4

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「工藤さん、コーヒー召し上がります?」
 声をかけた鈴木さんにも、「今はいい、上にいる」と工藤はまたたったかオフィスを出て行った。
「ほんとにコーヒー召し上がる暇もないくらいお忙しそうねぇ。パンプキンムースどころじゃないと思って聞かなかったけど」
 ほうっと鈴木さんは心配そうに言った。
「ムースなんて聞くだけ無駄ですって、シャチョーが食うわけないし。まあ、年の瀬に近づいてるからしょーがないっしょ。俺も明日は出ずっぱりだし~」
 せめて良太が工藤の運転手をしていられた頃はまだマシだったかもしれない。
「ここんとこお休み取ってらっしゃらないでしょ。お身体のこともちょっとは考えてくださらないとね~」
 鈴木さんが心配そうに呟いた。
 全くだよな、いい年なんだから……
 良太は窓の外の散り始めた街路樹を見ながら頷いた。
 

 


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