ほんの少し届かない42

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      act 7
 
 
 良太が麻布にある河崎のマンションに着いたのは午後十時を回った頃だった。
「メリークリスマス! やあ、良太ちゃん、来てくれてありがとう。仕事は終わったの?」
 テンションの高い藤堂の声がドアフォン越しに聞こえてくる。
 良太がエントランスの前に立つガードマンにパーティに来たと告げると、中に入れてくれて、ドアフォンを押すように言われたのだ。
「いえ、終わってはいないんですけど、今日は一段落ついたので俺はお役ゴメンてことで」
「まあ、どうぞどうぞ、あがって」
 河崎の住むマンションはちょっとやそっとでは足を踏み入れることがない場所だろう。
 ガードマン、エントランスにはそれぞれの部屋へのドアフォン、各々の部屋へ各々のエレヴェーター、万全のセキュリティだ。
 しかも河崎の部屋は十階建てのペントハウスフロアだ。
 半地下には駐車場、一、二階は吹き抜けになっているエントランスロビーで、噴水のあるパティオをぐるりとペットを連れて寛げるスペースが囲み、ゆったりとしたソファが備えつけられている。
 三階にはお茶の飲めるラウンジが入っていて、ルームサービスもしてくれる。
 四階にはプールやジム、ランドリーサービスと管理室がある。
 五階か上が住居で、五階から八階に二戸ずつ、九階と十階はワンフロア一戸という造りだ。
 海外企業向けだから、河崎以外は日本人の入居者はいない。
 藤堂と浩輔、それに藤堂の家に同居している悠が交代で俄かバーテンダーになって、リビングの片隅にあるバーのカウンターの中で飲み物を作ってくれる。
 悠の友人たちも手伝っているようだ。
 テーブルには所狭しと美味そうな料理やスイーツが並べられ、今年も大きなクリスマスツリーがリビングに入ってすぐのところに陣取っていた。

 


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