ほんの少し届かない43

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 リビングのあちこちにちりばめられたクリスマスアイテム、ホームアローンな飾りつけは健在だが、キャンドルライトとフロアスタンドの灯りだけの、今回は大人な雰囲気で、と藤堂が言っていたように、パーティというよりはやってきた者が楽しんでいく場所を提供してくれている感じだった。
 クリエイターの佐々木や佐々木にとっては片腕ともいうべきアシスタントの池山直子もいて、良太は手招きされて挨拶を交わす。
「良太ちゃん、ひとり? アスカさんや小笠原はぁ?」
 のんびり口調で直子が聞いた。
「アスカさんは仕事の関係でパリだし、小笠原はスタジオなんだ」
「あの美人さんもいないの?」
 ああ、小林千雪のことかと良太は思う。
「残念ながら恋人とどこかへ旅行みたい」
 女性にも美人さんなんて言われたら、千雪さん、また嫌がるかも…
 しかし直子のコーデだという今夜の佐々木は、千雪とはまた雰囲気が違うが、招待客の中のモデルの一人だと言われても誰もが頷きそうにクールに美しい。
 ただおそらく佐々木も疲れているのだろう、口数も少なく良太や直子を眺めているだけだ。
「ええ、そっか~」
 その時ポケットでマナーモードの携帯が震えているのに気づいた。
 良太は壁際に移動して携帯を取り出すが、画面に出ているのは沢村の文字だ。
「ああ、仕事は今日は終わり。え…うん、パーティってか、……え? いや、ちょっと聞いてみないと……」
 沢村もこのパーティに行くと言い出したのだ。
 妙に勢い気味に、俺も行く、と沢村は駄々こねのように喚いている。
「藤堂さん、実は友人が来てもいいかって言うんですが」
 良太は一旦携帯を切って、カウンターの中でバーテンダーよろしくカクテルをシェイクしている藤堂は、「どうぞどうぞ大歓迎」と笑った。

 


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