風そよぐ5

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「いや、最近は、何せ、例の『大いなる旅人』シリーズ、ドラマが好調で第四弾まで海外が背景だったんですが、今度映画化が決まって、背景が主に京都なんですよ。ちょこっとニューヨークも入るみたいですが」
「あれ、おもろいな、時空を飛び回るサスペンス? へえ、京都なん?」
「そうなんですよ、しかも安倍晴明が出てきちゃうんです。プロモーションはちょこちょこもう映像でやり始めてるんですけどね」
「それはますますおもろいな、安倍晴明かあ」
「来年公開予定なんですけどね、俺も楽しみにしてるんですが………」
「何か問題ありか?」
「まあね、おそらく、工藤が海外に飛んでる間は、京都は俺に丸投げになるんじゃないかって」
 ハハハと笑い飛ばしている時に、オフィスのドアが開いた。
「何だ、珍しく早いじゃないか。暇なのか」
 足早にオフィスに入ってきた工藤は千雪に気づいてそう言いながら、奥のデスクへと向かった。
「冗談! せっかく最優先で伺ったのに、徹夜明けですよ? まあ今、美味しいお弁当をいただいたとこです」
 千雪が言うと、工藤はフンと鼻で笑い、「一つ電話をするから待ってろ」とデスクの電話を取った。
「工藤さんの分も、お弁当取ってありますよ」
 鈴木さんが弁当とお茶を持って声をかけると、「じゃあ、二人の横にお願いします」と手短に言って工藤は電話をコールした。
「相変わらず忙しない人やな」
「さあ、根が貧乏性なんじゃないですか」
 こそこそと千雪と良太が言い合っているうちに工藤がやってきた。
「良太、ヤギの方はどうなってる?」
 良太の横に座るなり弁当を開きながら、工藤が聞いた。
「三時から合流する予定です」

 


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