良太は坂を登りきったところにあるサンフランチェスコ修道院の横から声を上げる。
眼下に一望できるフィレンツェの街。
ミケランジェロ広場はフィレンツェを挟んでちょうど向かいにあった。
夜はミラノに戻ってバールに繰り出してみた。
ほろ酔い加減の良太の目には、夜のドゥオーモがとてもロマンチックに見えてしかたなかった。
月曜日は美術館など休館のところが多いので、午後になってからスフォルツェスコ城のあたりまで車を飛ばしたくらいで、あとはホテルでゆっくり過ごした。
工藤は良太をいろいろなところに連れて行ってやろうとしてくれたのだが、良太としてはゆっくり休んで欲しかったのだ。
しかし……。
このオヤジはよー!
二人でホテルにいると工藤はすぐよからぬ行為に走るのだ。
とはいえ、良太にそれをあえて拒む理由もなく……。
ミラノの最後の夜も暮れていく―――――。
秋山たちのプレゼントしてくれた数日間は、とどのつまり、良太にとってどれほど工藤に〃イカれてるか〃を再確認したような、オプショナルツアーになった。
―FIN―