鬼の夏休み21

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「アクションと医療のバディものですか。私、アクション好きなんですよ。面白そうじゃないですか」
「まあ、坂口がえらく前のめりで、娯楽に徹したものを作りたいとか」
 工藤は苦笑した。
「いいんじゃないですか? 何か意味のあるものでなくとも、見るとスカッとするとか、しばし日常を忘れられるとか。それで医師役が宇都宮さん?」
「ええ、打診しているところです。刑事役にはうちの小笠原でいこうと」
「なるほど、雰囲気が違うお二人だし、決まったら応援させていただきますよ」
 良太にはよくわからないが、紫紀と工藤は妙に息が合っているらしい。
 東洋商事のバックアップがあれば、結構思い切ったこともやれる、と工藤は計算しているのだ。
 宇都宮の医師役というのも、現在撮影中のドラマ『田園』での医師役が視聴者に印象付けられることで、次の医師役もすんなり受け入れられる可能性大だ。
 そういえば小笠原の刑事役にしてもなぜ今までなかったのかと思うくらいはまりそうだ。
 とはいえまた坂口さんか。
 調子のいいオッサンだけど、まあ、憎めないというか。
 良太は聞こえてきた内容からそんなことを考えていた。
「へえ、新しいドラマ? いつから?」
「いや、俺も今聞いたばっかで」
 千雪に聞かれたが良太にも答えようがない。
「いずれにせよ、来年以降の話だと思いますけど」
 ボソボソ話していると先ほどのバイトの女の子が焼きあがった肉や野菜が盛られた皿を届けにやってきた。
「京助さんから、ちゃんと食べるようにとおことづけです」
「ありがとう」
 工藤や紫紀も別のバイトから皿を受け取っている。
「学生のバイト?」
「せや。京助がバイト探してんの知って、公一さんが大学の後輩とかに声かけて」
「なるほど。速水さんとか、理香さんとかも来てますね」
 二人ともスキー合宿の時に知り合った、京助の友人だが、見回すと知った顔が何人かいる。
「夏は海外やら遊びまわってるような連中がほとんどやけどな、綾小路の知り合いとか、親戚とかも。財界の二世なんかも顔見せてるし」

 


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