鬼の夏休み3

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 例え工藤が、一切縁を切っているとしても歴然とした事実は消えることはなく、この会社の社員となっているメンツはほぼ、何かしらワケアリな人間だ。
 だからこそなのかもしれないが、良太にしてみると最近では一つの家族のように思えるのだ。
 にしても、工藤、どんだけワーカホリックなんだよ!
 ちょっとは話くらいしても罰は当たらないだろ!
 昨日ニューヨークから戻ったかと思ったら京都に向かうという工藤を、成田に迎えに行った良太は、そのまま東京駅に直行し、車内でも工藤は電話で話していたので、ロクに言葉も交わす暇もなかったのだ。
 良太が心の中でグタグタと、社長の工藤に文句を言っていたからか、しばらくして当の本人が戻ってきた。
「あ、お帰りなさい」
「ああ」
 返事をしただけマシか、という感じで、工藤が自分のデスクに着くなり、携帯が鳴った。
 また電話で何だかだと話し始めた工藤をチラリと睨むと、良太は自分のパソコンに向かった。
 別にさ、お帰りなさいって言ったら、逢いたかったよ、ダーリン! なんてのを望んでいるわけでもないし、大体自分で考えてキモイしそれ、沢村と佐々木さんみたいにお互い相手しか見えてないみたいなのがいいわけでもないけどさっ。
 俺ら沢村たちより古いつきあいなわけでさ。
 もちょい、こう、何かしらのアレがあってもさ。
 ブツブツと良太は心の中で呟いた。
 一応、社長でオヤジだが鬼の工藤と、部下で怒鳴りまくられているけど良太は、一般的に言えば付き合っている関係なのだ。
 そこは、良太の方が工藤に刷り込み状態、とか周りではそういう認識なのかもしれないが。
 佐々木さんに逢えないと良太にちょくちょく電話して愚痴る沢村なんか、いつ会えるともわからない工藤を待っている良太の方がどれだけ愚痴りたいか、というところなのだ。
「タレントの都合でスケジュール変更とかできるか! ああ? 風邪をひいて声が出ない? んなもん、健康管理くらいきっちりさせろ! 熱が出た? 仕事しているうちに熱なんか下がる!」

 


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