鬼の夏休み4

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 うお、何か揉めてる。
 ドラマ出演に穴? とか?
 ってより、もろ昭和なパワハラじゃんね。
 仕事しているうちに熱なんか下がるとかって、今の若い子には通用しないって、それ。
 聞き耳を立てている良太は、工藤の怒鳴り声に一つ一つ心の中で抗議する。
「いいか、次はないって言っておけ!」
 あああ、可哀そうに。
 相手はマネージャーとか?
「良太!」
 電話が終わったらしい工藤が、いきなり良太を呼んだ。
「明日、明後日、スケジュールあけろ」
「え? は?」
 良太はあまりに唐突な命令に、ちゃんとした言葉が出てこない。
「今夜から軽井沢に行く。準備しておけ」
 そう言いおいて、工藤はまたオフィスをたったか出て行った。
「ちょっと待てよ! 俺の都合はどうにでもなるっての?」
 既に出て行った工藤に向かって、立ち上がった良太は思わず声を上げた。
 はあ、とため息も大きくなるわけだ。
「良太ちゃん、猫ちゃんたちは任せて。夕方だったら、いろいろ準備もあるでしょ?」
 鈴木さんが良太を労わって、早速猫の世話を申し出てくれた。
「はい、すみません、いつも。お願いします」
 良太はぺこりと鈴木さんに頭を下げると、すぐに自分のパソコンに向かって、明日明後日のスケジュールの変更をどうするか、脳みそを総動員にすることになった。
 結局、入っていた打ち合わせなどを別の日に変更してもらうようにアポを取り直したり、急ぎやっておかなければならない書類に取り掛かった。
 ただ、運のいいことにここ二日ほどの良太のスケジュールは、打ち合わせにしても移動可能な相手だったりで、快く了解してくれた。
 まさか、工藤、そこまで読んでた、なんてことはないよな?
 工藤の横暴にまだ腹を立てつつも、軽井沢、は涼しいかも、と、げんきんな自分のことは棚に上げておく良太だった。

 


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