鬼の夏休み46

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「って……」
 驚いている良太に、千雪は早口で言った。
「どうやらそれに乗ったお客もいてたみたいで」
「はあ………まあ、これだけ財界の重鎮が集っていれば、誰に声をかけても乗ってくれば儲けものって感じなんじゃ………」
「京助も声をかけられたらしいわ」
 そういう千雪の形相は険しかった。
「まあそれで分かったんやけどな、昨日、さっきの大学生と一緒にいた小谷って女の子」
「はあ? 何か妙な符号ですね」
 良太も気になり始めた。
「まあ、ここで小説やったらや、車のキーとくれば、車の窃盗やな」
 千雪の言葉に良太はちょっと表情を強張らせる。
「ほんで、学生を使ってこそこそ窃盗やパパ活なんかやらせているのが、昨日のもう一人のオッサンや」
「……何か、段々、その通りだって気がしてきました。ってことは、駐車場、気を付けてた方がいいってこと?」
「せやな。帰りは各々好きな時に帰ってもらうことになっとるし……」
「行きますか?」
「よし」
 良太が工藤を振り返ると、理香と藤田と穏やかに談笑しているといった感じだった。
 そう言えば、紫紀さんに誰か紹介してもらうとか言ってたな。
 ま、工藤さんがいればいっか。
 良太は千雪に続いてこそっと駐車場に出た。
 ここの駐車場はまた広いのだ。
 駐車場じゃなくても、車を停めるところはあるし、二十台程が、しかもどれも高級車らしき車ばかりが並べられているのは壮観だ。
 客が帰る時は、車までスタッフが案内をして帰ってもらうことになっている。
 もっとも、CEOクラスは迎えが来るから車の盗難だのは関係ないだろう。
「でも学生バイト、公一さんの後輩って言ってませんでした?」
「ああ、後輩は二人くらいであとはその二人が呼んだみたいや」
「そうか、じゃあ、ひょっとしてよく知らなかったりするわけ?」
「せやな」
 

 


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