鬼の夏休み50

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 一方、小谷に呼んでくるように言われたと京助から聞いた村野は、京助に伴って談話室までやってきた。
 ちょうどドアを開けた時、公一がやってきた。
「あの、何かあったんすか?」
 怪訝そうな顔で公一が聞いた。
「お前も入れ」
 京助は村野と公一が入ると、中に入ってドアを閉めた。
「え、これって一体?」
 何か変だと村野は気づいたようだ。
「和彦! いったい何なのよ!」
 やっと小谷も自分が思っているような理由で京助がやってきたのではないことだけはわかったようだ。
「どういうことよ?!」
 立ち上がった小谷を「座れ!」と京助は一喝した。
「お前らの目論見は外れた。車の窃盗犯は捕まえてもうすぐこっちに来る」
 それを聞くなり、村野は京助と公一の間を抜けてドアに突進した。
 だが、京助が足を出したために、村野はドアに顔をぶつけて床につんのめった。
 京助は村野の腰のあたりを足で踏みつける。
 げ、いたそ……。
 良太は思わず顔をしかめる。
「暴れたりしない方がいい。この人空手の有段者で、怖えぞ」
 公一が村野を見下ろしていった。
「あ、あたしは関係ないわよ! ただ、この人に呼ばれてきただけだし」
 劣勢と見ると、小谷はそんなことを叫んだ。
「座ってろっつったろ! ネタは上がってんだよ!」
 京助に怒鳴られて、ひっと震え上がった小谷は、また座り直した。
「申し訳ありません、京助さん。俺の紹介した学生の中に窃盗犯が混じってたなんて、思いもよりませんでした」
 公一は村野の身体を引っ張り起こすと、京助に頭を下げた。
「座れ」
 京助が鬼の形相で村野を睨むと、村野は渋々小谷の横に腰を降ろした。
「お前らが窃盗に加担した理由があれば、一言だけ聞いてやる」
 京助は村野と小谷に言った。
 すると小谷は開き直ってキッと京助を睨み付けた。
「お金に決まってるじゃない! あたしらはね、いい服着ていいもの食べて、いい暮らししてるあんたたちなんかにわかんないわよ!」
 可愛い顔がゆがんだ。
 良太までをも小谷は睨み付ける。
「いやあ、俺の服はただこのパーティのために社長に買わせられただけなんだけど……」
 ずれた良太の発言に、場がしらっとなり、小谷は勢いを損ねた。

 


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