鬼の夏休み52

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 談話室では千雪が電話をしていた。
「ああ、おおきに、お疲れ」
 千雪の電話が終わると、良太は言った。
「京助さんら車で村野と小谷連れて裏門から出て行きましたけど」
「ああ、悪いな、お客さんに手ったわせて」
 千雪は苦笑した。
「いや、俺はお客ってほどでも。ひょっとして警察行ったんですか? 知り合いが捕まえたって?」
 良太は聞いた。
「ああ、ダチとその仲間、まあ、ちょっとバイクのテクがある連中四、五人で車追って、のっとった男二人、引き摺りだして、捕まえたて」
「バイクだけじゃなくて腕っぷしも強いとか?」
「らしいな。一人、ITにメチャ強いやつがおって、そいつの言うには、コードグラバーとかいうンを使うて、スマートキーの電波を読みこんで車盗むんやて」
「うわ、よく知ってますね」
「まあな。どうやらキーを返すのに時間かかったのは村野がキーの電波を読ませよったかららしわ」
 千雪は険しい表情で言った。
「ダチが捕まえたオッサン、昨日見たやつらしけど、村野には車の窃盗に加担させて、小谷とか女の子何人かにはパパ活と称して引っ掛けた男から金を巻き上げさせよったみたいや」
「ひえ………。でも俺も、金のためにパパ活もどきやってえらい目にあったからな。他人事じゃない気がする」
 良太はしみじみと言った。
 すると千雪が笑った。
「そやったな、会社の前でボロボロになっとったもんな」
「笑いごとじゃないっすよ」
 良太はムッとする。
「けど、それに懲りて、ええ薬になったんちゃう?」
「いや、でも、俺、工藤さんに助けられてなかったら、あいつらと同じ道辿っていたかも」
 憮然として良太は言った。
「どやろ、良太は自分から逃げ出したわけやから、そうはなってないやろ? それに良太なら、工藤さんやのうても別の誰かが助けてくれてたって」
「それ、楽観過ぎ」
「事実やで。お前、芯がしっかりしとるよって、やつらみたく落ちたりせえへんて」
「まあ、俺のことはいいですけど、車、お客さんに返してしまっていいんですか?」
「この屋敷から盗んだ車の他に何台か盗んで保管しよった場所を、ダチが突き止めたよって、ええんや。パーティの最中に綾小路で騒ぎは起こしとうないから、警察にどうしてもて言われたら、明日にでも代わりの車差し出せばええ」

 


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