鬼の夏休み54

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「新しいドラマを進められているとか?」
「ええ、まだ来年以降の話ですが」
 浜村に聞かれて工藤が答えた。
「次は難しいものではなく、娯楽というか、アクションなんかも入れた楽しめるドラマだそうです」
 紫紀が付け加えた。
「ほう、アクション、いいですね。メッセージ色の強い、難しいドラマもいいと思いますが、どうせなら嫌な日常を忘れて楽しめるものがあってもいいですね」
 浜村は少し前のめり気味に頷いた。
 渡良瀬は微妙に笑みを浮かべながら、話を聞いている。
 浜村さんはかなりいい感触だけど藤田さんみたく、ノリで突っ走るタイプかもな。
 渡良瀬社長はちょっと曲者っぽい。
 突っ走り気味な会長の後ろで、冷静に工藤をどう見極めようか迷っているってところか。
 まあ、工藤の出自も無論知っているだろうし、ただ、東洋グループCEOがバックアップしているというところで、思案のしどころなんだろう。
 紫紀がキレものだということも当然わかっていることだろうし、その紫紀が後押ししている工藤という男を、充分吟味する必要がある、ってとこか。
 良太は話を聞きながら、二人の男を観察していた。
「広瀬さんは新しいドラマについて、どう思われます?」
 いきなりそれまで黙って聞いていた渡良瀬のフェイントだ。
「ええ、脚本家の先生が随分気合が入っておられるようですし、どんなものになるのか私も楽しみなんです」
 良太は口にできる限りの優等生的な答えを返す。
「キャストは有名どころが出演されるんでしょうか?」
「まだ正式には決まっていないようですが、先生が推しておられる俳優さんはどなたでもご存じの方になるのではと思いますが」
「なるほど」
 にっこりと渡良瀬は笑った。
「あら、良太ちゃん、探したのよ~」
 そこへフラッと現れたのは理香だった。
「急にどこかへ行っちゃうんだもの。ねえ、あの陽成院流の若先生、お茶会とか行かないのかしら? あまりお見掛けしないのよね」
「佐々木先生のことですか? 普段はクリエイターをされているので、お茶会とかは滅多に参加されないかと思いますよ」

 


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