鬼の夏休み60

back  next  top  Novels


 だがそのまま一緒にベッドに倒れ込んだ時、ふっと唇が離れた。
「ちょ、何だよ………!」
 抗議しようとする良太の唇をまた塞ぐと、工藤は今朝結んでやったタイをほどいて抜き取った。
 工藤の指はさらに良太のシャツのボタンをはずし、首筋から胸へと熱い舌と唇が這う。
「…やっ……スーツが皴に……なるだろっ!………」
 工藤は抑え込まれながら喚く良太の上着を剥ぎ取るように脱がせると、今度はシャツを後ろから引き下ろす。
「……くどっ! 酔ってんのか!……」
 酒も飲んだだろうが、酔うほどではないだろうのに、常になく粗野な動きで工藤は下着ごと良太のズボンを引き下ろした。
「……やっ!」
 いきなり下を顕わにされた良太は反射的に工藤の胸を押し戻そうとするが、工藤は全身で押さえつけていてびくともしない。
「…このっ…エロおやじっ!」
 そんな言葉を投げつけたものの、エロいキスに煽られ、工藤の指が器用に嬲るうちに良太の身体は溶け始め、容易く追い上げられて、はあっと熱く息を吐いた。
 弛緩してまだ息も整わない良太がぼんやりしている間に、工藤は中へと押し入った。
 声にならない喘ぎが良太の唇からこぼれ続ける。
 灯りを落とした部屋の中で、濡れた音と衣擦れ、互いの息遣いだけが夏の余韻を残した夜の空気に飲み込まれる。
 揺すりたてられているうちに良太の下肢は工藤にただ従順になり、紅潮した頬や潤んだ目が工藤を見上げた。
「…くど…う……ああっ…んっ……」
 離したくないとばかりに工藤を奥へと呑み込んで、良太は縋るようにその背中にしがみついた。
「良太…」
 耳元で工藤の声がすると良太は幾度目か身体を震わせ、闇の深淵にことんと落ちた。
 工藤はゆっくりその唇をついばみながら、己も果てた。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村