鬼の夏休み57

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「お、良太、工藤さん、お疲れ様です」
 中にはタブレットのキーボードを叩いている千雪がいた。
「お前ら、さっきから何をこそこそとやってたんだ?」
 工藤が険しい顔で千雪に問いただした。
 やはり工藤は気づいていたようだと、「実は車の窃盗犯を捕まえたんです」と良太が答えた。
「車の窃盗犯?」
 聞き返した工藤に、千雪が説明した。
 村野と小谷が外にいた主犯の窃盗犯らとつるんで、セレブが集る盛大なパーティにもぐりこみ、めぼしい車のスマートキーから電波を盗んで車を動かし、裏門から盗み出していた、と一通り事情を聞くと、「捕まえたって誰が捕まえたんだ」と工藤は尋ねた。
「俺のダチとその仲間なんですよ。まあ、いわゆるバイクのテクと腕に自信がある連中がいて、京助が捕まえた連中を警察に引き渡しに行ってるとこですわ」
 それを聞くと工藤は眉を顰めた。
「昨日、この別荘の裏門あたりで村野と小谷と妙なおっさんが何か口論してて」
「それでどうして車の窃盗につながったんだ?」
「そこは一応ミステリー作家の妄想が膨らんで、それがバッチリ合うてしもて」
 千雪がふふんと笑う。
「そこがさすが名探偵ってとこですよね」
 良太が感心して持ち上げる。
「まあいいが、危ないことはするなよ」
 工藤が釘を刺す。
「大丈夫ですて。危ないことは京助やダチにやらせますよって」
 しれっと言い放つ千雪は強かというしかない。
 やがて公一がコーヒーを持って現れた。
 三人分のコーヒーをテーブルに置くと、「お酒がよろしければお持ちしますが」と公一は工藤に尋ねた。
「いや、コーヒーを頂く。ありがとう」
 実のところ工藤は、良太が小谷と笑いながらどこぞに消えたのを見て、何なんだと不快に思っていたのだが、そういうことかと心の中で納得した。
 しかし、浜村と渡良瀬への対応も卒なくこなし、理香に絡まれてもうまくあしらったりす良太を、退屈な浜村や渡良瀬との話を聞いているふりをしながら、生意気に、とイラつきながら見ていたのだ。

 


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