月鏡23

back  next  top  Novels


「とにかく金輪際、彼女には工藤さん自身にもあなたにも会社にも関わっていただきたくはないので、こちらとしても何かしらのお灸は据えておきますので、ご心配なく」
 良太を残して、ゾンビタクは走り去った。
 ふうっと大きく息を吐いて、良太はエレベーターへと向かった。
 既に十一時半を過ぎている。
 工藤が隣の部屋にいるのか、高輪に行ったのかここからではわからない。
 ちぇ、もちょい早かったら、話くらいできたかもなのに、あの魔女オバサンのお陰で!
 ハロウィンだからって俺の前に現れなくてもだよっ!
 良太はプンスカ怒りながらドアを開ける。
 ナーーーン、ニャワンと、すぐさま小さいやつらがとことこ駆け寄ってきた。
「遅くなったね~、よーしよし」
 二つの猫を交互に撫でてやると、着替える間もなくまずご飯だ。
 カリカリを新しい皿に入れてご飯スタンドの上に置くと、ウエットフードを二つに分けてこれもカリカリの横に置く。
 はぐはぐと懸命に食べるのをしばし眺めて癒しをもらってから、ようやくスーツを脱いでバスルームに飛び込んだ。
 バスタブに湯をためるうちにシャワーで汗を流すと、湯を止めてバスタブに身体を沈めた。
「でもさ、よく考えたら、魔女オバサンもだけど、波多野ってやっぱ怖ぇ~! なんで俺があのホテルにいて、魔女に連れ去られたってわかってんの? 何、まさかどっかに盗聴器とか?」
 調べたことはないが、あり得ないことはない。
 だが、工藤のことを思うと、この際、盗聴器が仕掛けられていようが調べない方がいいかもと思う。
 万が一何かあった時に、波多野が工藤を追えなくなった時の方が問題だ。
 じゃあ、魔女オバサンは俺をつけてたりしたってこと?
 それこそ盗聴器とか、ないよな?
 そっちは調べないとまずいかも。
 うーーーん、もし仮に盗聴器があったとして、どっちのやつかとか、どうやって調べたらいいんだ!
「千雪さんの友達、加藤さんって言ったっけ? あの人詳しそうだよな。千雪さん経由で頼んでみようかな」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村