月鏡24

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 そんなことを呟きながら、良太はいつの間にか瞼が落ちてきた。
 がくんと頭が湯に落ちたところで、目を覚ました良太は、「いけね、いけね」とバスタブから出た。
 髪を乾かしていた良太はドライヤーの音に混じって携帯が鳴っているのにやっと気づいて、ドライヤーを止めた。
 携帯を見ると、工藤は二度目かけてきたらしい。
「あ、すみません、風呂、入ってて」
「カボチャパーティは終わったのか。藤堂のヤツよくよくヒマを持て余してるようだな」
 工藤には詳しいことは話していなかった。
 話したところで、パーティやら宴会やら嫌いな工藤に、それに沢村のことなんか気にも留めないだろうと良太は思ったのだ。
「いやまあ、藤堂さんは、まあ……ハハハ……パーティはいいんですが………」
 つい、そんなことを口にしてから、やっぱ工藤には言わない方がいいだろうか、と逡巡する。
「いいんですが、何だ? 何かあったのか?」
 良太の科白の微妙なニュアンスに、工藤は気づいたらしく、問いただした。
「いえ、あの、何かあったとかってほどでは…………」
 うーーん、ウソのつけない俺ってどうよ?
「いや、その、ハロウィンパーティに行ったら、魔女オバサンと出くわしたってくらいで……」
「魔女オバサン? ………ちょっと来い」
 電話の向こうから、大魔王のような低く血の底から響くような声がのたまった。
 正直者過ぎるって、やっぱ生きていく上で損するよな。
「とっとと吐け。何があった?」
 隣の部屋のドアを開けると、バスローブの工藤が仁王立ちになって良太を迎えた。
「いや、何がって……ほどじゃ………」
 笑ってごまかそうにも、笑いがゆがんだ。
「やっぱ、ハロウィンなんで、パーティの帰り、魔女に出くわしてですね………」
「パーティの帰り?」
 怪訝そうに工藤は良太を睨み付ける。
「えと、だから、その、パーティが終わって帰ろうとしたら、エレベーターホールで出くわしたんですよ、そのおばあさん、ハハハ………ほんとに鼻が魔女っぽくて、鼻緒が切れて足を挫いたから部屋まで連れてってくれないかとかって………」
 上目遣いに工藤を見やると、工藤は増々険しい顔をして見下ろしている。
「お前はそれで、ホイホイ、部屋まで連れて行かれたのか?!」
 工藤は凄みのある声で尋ねた。

 


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