月鏡26

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「とにかく、俺の素性調べるとかはいくらでもできると思うけど、今夜のパーティのことやしり俺が行くこと知ってて、あらかじめホテルに部屋を取ってたってことで、まさか会社に盗聴器とか仕掛けられてないかとか、俺ちょっと心配になって」
 ややあって、良太は何とか自分を落ち着けて言った。
「千雪さんの友達に、そっち方面詳しそうな人がいるんで、ちょっと会社とか調べてもらおうかと思って」
 工藤がようやく顔を上げた。
「あの、それでもしかして波多野さんも何か仕掛けてるかもだけど、そっちは改めて仕掛け直してもらうってことで」
 良太は話を続けた。
「波多野さんはあんたの影のSPみたいなもんだから、知っててもらわないとだしさ………」
 工藤は振り返って良太を抱きしめた。
「あ、え…………」
「すまなかった」
 一瞬良太は耳にした言葉を聞き間違えたかと思う。
「な……に、言ってんだよっ! 何であんたがそんなこと言う必要ないだろっ! 腹立つのは魔女オバサンの方なんだから! たださ、魔女オバサンのお陰で俺が困ってるお年寄り見て手を貸すの躊躇するみたくなったら、どうしてくれんだよって話で………」
 工藤はまだ何か言い足りなさそうな良太の唇を自分のそれで塞いだ。
 良太はなかなか話そうとしない工藤の背中にしがみつく。
 やっと離されたと思ったら、そのまま工藤は良太の身体を引きずるようにしてベッドに連れて行った。
 良太のジャージを脱がせながら、またキスを浴びせる。
「やだからな! 俺…魔女オバサンがなんていったって、俺あんたから離れないからっ!」
 「ああ」
 工藤は良太をゆっくりベッドに押し付ける。
「俺から離れるな!」
 工藤の言葉が良太の耳に届くと、途端、良太の目から涙が零れ落ちる。
「あんな、ヤバめなおっさんなんか、怖くないからな」
 良太は精いっぱい声を大にする。

 


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