月鏡49

back  next  top  Novels


「ああ………」
 良太は辻たちを振り返った。
 やはりどうしても何だか強面オーラが漂っているらしい。
「いや、大丈夫です。実は、彼ら、千雪さんのお仲間で、ロケの見学したいっていうんで、邪魔しなければいいよって」
 それを聞くと日比野は、「なんだ、そっか」とほっとした様子だ。
「よかったよ。今度は暴走族に喧嘩でも売られたりしたらと、肝を冷やしたよ」
「すみません、最初にご報告しておけばよかったんですが…」
「いやいや、見た目で人を判断しちゃいけないってことだろ。こちらこそ悪かった」
 日比野は先だっては新人女優の二村に振り回されて撮影のスケジュールが狂いまくりで、しかもあんな事件まで起こされて、その心労はいかばかりかという感じだ。
 二村の代役に入った、ドリームエージェンシーの三木原澪がなかなかいい味を出してくれて、ようやく撮影も軌道に乗ったという矢先、また変な連中に絡まれてはたまったものではないだろう。
 それも自分のSP代わりにいるとか、良太は考えるだけで溜息ものだ。
 ったく、工藤のせいだ!
 ってか、あの人、ときたま、変なこと思いつくよな!
「なあ」
 いきなり背後から、こそっと声をかけられて、良太は驚いて振り返った。
「え、匠、何?」
「あいつ……」
 今度はどいつのことだよ?!
「新しいADって」
「ああ、森村さん?」
「あいつ、只者じゃないな」
「はあ?」
 クルーの中を走り回っている森村を見つけて、また檜山を見た。
「なにそれ?」
「身のこなしが尋常じゃない。何かやってる。芸能とかじゃなく多分武道。俺も合気道やってるからわかる」
「え、うそ???」
 今度は檜山をまじまじと見つめた。
「ウソじゃない。中学の時から、演技にもプラスになるし、防犯対策にもなるって思ってやり始めて、段持ち」
「ええええ、匠も実は腕に自信あり?!」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村