月鏡57

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「詩人、作家。お前、もっと本読めや。プロデューサーなんてのんは、広く浅く、深くでもええけど、物事を知らんとあかんやろ」
「はあ、あかんですか………。もう俺、いっぱいいっぱいなんすけど」
「あかんね。まあ、良太の場合は、野球バカやったからしゃあないか。これからでも知識はあらゆるとこから吸収するとええで」
「はあ………俺はボール投げてるだけでよかったんすけどね」
 良太はこれ以上どうやって勉強しろっていうんだ、と肩を落とす。
「てことで、そろそろ帰れるんやろ? 日が落ちるの早いからなあ」
「あ、じゃあ、檜山さんも一緒に。呼んできます」
 日比野と何やらまた話し込んでいる檜山のところに歩み寄って、良太は話が終わるのを待った。
「あ、帰る?」
 檜山が気づいて声をかけてきた。
「はい、京助さんが車で送ってくれます」
「おい、良太ちゃんもあっちのホテルなんだって?」
 ちょっと羨ましそうな顔で日比野が聞いてきた。
「あ、日比野さんもよろしければ、向こうのホテルに変えましょうか?」
「いや、いいって。俺ら、酒のみが寄り集まるのが楽しみでもあるし。三田園さんもかなりの酒豪らしいし、橋本さんと三田園さん、昔から仲いいみたいで」
 意外な話を聞いた。
「え、そうなんですか?」
 主演を張る俳優とワキだけでやってきた俳優って、壁がありそうとか、良太は勝手に思い込んでいた。
「それじゃまた明日、お疲れ様」
「お疲れ様です!」
 日比野は橋本や三田園と一緒に、車に乗り込んだ。
 車はかなり下に置いていたので、京助が取りに行ってくると一人降りて行った。
「あ、可愛い!」
 檜山は千雪の連れているシルビーを見つけて駆け寄った。
「千雪のワンコ?」
 しゃがみ込んで、檜山は犬目線で撫でまくっている。
「シルビーや」
「シルビー! きれいな子だね」
「ホテル、ペットOKで助かったわ」
 千雪が言った。

 


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