月鏡63

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「バーカ、みんなでワイワイ入るのが露天風呂の醍醐味だろうが。千雪のは自分で越えるっきゃないんだよ」
「はあ」
「そうそう! みんなでワイワイ、楽しい!」
 檜山が笑うと、他のみんなもつられて笑う。
「でも、ここ割といい湯じゃない?」
 白石がお湯を手ですくいながら言った。
「お肌がきれいになります! 白石でも」
 茶化した山倉は白石にお湯をバシャッとかけられ、お湯の引っ掛け合いが始まった。
「ったく、お前ら、ガキが………」
 ボソリと呟いた京助にも湯が飛んで来ると、応戦しないはずもなく。
 良太や檜山にも湯が飛んできて、しばらくお湯掛け合戦が続く。
「ふう、みんなガキじゃん……」
 のぼせそうになった良太が一抜けて、湯から上がった。
 露天風呂に入るだけで、結構体力を使い、ヘロヘロになった良太と檜山が、今夜の宴会場となっている京助と千雪の部屋をノックすると、二人を中に入れた千雪が笑った。
「風呂で湯あたりしたんか?」
「いやもう、いい大人が、お湯掛け合戦で………」
 良太の言葉に千雪は笑った。
「あいつら、でかいなりして何やってんね」
「俺らの貸し切り状態」
 檜山が付け加えて苦笑いする。
「あの人ら見て、逃げ帰った人がいたらしいですよ」
 良太が説明した。
 千雪は「目に見えそうやで」と笑った。
「千雪さん、お風呂入った?」
「おう、とっくや。宴会の準備もな」
 リビングのテーブルにナイトテーブルなども寄せて、デリカテッセンやデパートでテイクアウトしてきた総菜、鮨の盛り合わせがいくつかと、ビール、ウイスキー、焼酎、ワインのボトル、袋入りの氷がドンと乗っかっている。
「あいつら、半端なく食べるし飲むからな」
「はあ、そんな感じっすよね」
 良太は先が思いやられて、溜息が出そうになる。
 そのうちドアがノックされた。
「腹減ったあ」
「まず、一杯!」
 風呂上がりの団体が部屋に入ってくると、広いはずの部屋だが、途端に密度が上昇する。
 


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