月鏡65

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「いや、冗談じゃなくて、ほら、あのパーティのあと、帰ろうとしたら………」
 良太は老齢の女性が困っていたので部屋まで連れて行ったら、そこで魔女が正体を現した、とかいつまんで話した。
「ほお、何、魔女の隣には狼男とフランケンシュタインとドラキュラがおったと」
「そう、なんです、まさしく、俺が魔女に何か言うと狼男がくわっと………その時は、何とかタンカ切って部屋を出たんですけど…、タクシー拾おうとしたらこれがまたゾンビタクシーで、いつか赤坂で助けてくれた鉄拳マンが運転手で………」
 そこで千雪もあらかたわかったようで大きく頷いた。
 以前、工藤と一緒に千雪と赤坂の料亭で映画の打ち合わせをした帰り、半グレ風な連中に襲われたことがあったが、そこへ風のように現れて半グレどもをバッタバッタと倒して、また風のように去っていった男がいたことを、千雪も忘れてはいないようだ。
「なるほど……そいつはまた難儀やな………でもなんでまた良太に近づいてきよったんや?」
「俺が聞きたいですよ。工藤さんもそれこそアイアンマン並みに怒っちゃって。でも、お灸をすえておくって鉄拳マンが言ったのに、また影武者とか使って魔女が動いてるって、鉄拳マンの弟子がADの中に一人いて、そう………」
「森村?」
 口を挟んだのは檜山だ。
「あいつ絶対ただもんじゃないと思ってた」
「ってか、匠、今の話でわかんの?」
 良太は思わず聞き返した。
「や、だから、魔女と狼男とフランケンとドラキュラに良太狙われてるから、正義の味方の鉄拳マンの弟子がADに紛れ込んでるって話だろ?」
「まあ、正義の味方かどうかはわかんないけど、工藤の味方ではあるな……」
 良太がぼそぼそと呟いてすぐ、千雪が声をあげた。
「今日は何も起きんかったけど、明日から二人ずつ良太のガード、いうこっちゃ。時間割り振って、担当外の時はフリーや」
「まずは相手やろ?」
 辻が聞いた。
「せやから、相手は魔女と狼男とフランケンとドラキュラ、がメインらしい。せやな? 良太」
 念を押す千雪に、「え、まあ、名前わからないんで、俺から見るとそんな感じ……かな?」と良太は苦笑いする。
「もちょい、具体的には?」
 加藤が聞いた。
「うーん、なんていうか、もう、みたら避けます、みたいな?」
「はあ……なるほど」
 今度は白石が頷いた。
 すると千雪がタブレットを開き、画像をいくつかピックアップしてそれぞれの携帯に送った。
「こいつらやろ?」
 良太は千雪から送られた画像を見るなり、コクコクと頷いた。
「そう、魔女オバサン!」
「ほんま、こわそ」
 辻がニヤニヤと笑う。
「そう、こいつら魔女オバサンの周りにいた狼男ら!」
 名前などは知らないが、顔はいかにもである。

 


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