月鏡82

back  next  top  Novels


 色んな事が良太の目の前に山積みになっているような状況だが、とにかく一つ一つ片付けていく以外にないのだ。
「良太ちゃん、こっちのワイン、美味しいよ」
「あ、いただきます」
 良太が差し出したグラスに、宇都宮が赤ワインを注ぐ。
 鍋も大体みんながつつき終わったところで、宇都宮は温めたパックのご飯を入れて手際よくおじやにする。
「トシちゃん、無駄にイケメンで、人気実力最高級、その上に料理の腕もプロ級? 彼女の立つ瀬がないわ。お一人様確定ね。ちょっとこのおじや美味しすぎ!」
 ひとみが勝手なことを並べ立てる。
「やめてくれよ。寂しすぎるだろ。このだだっ広い部屋にこの先もひとりってさあ」
 宇都宮が情けない科白を吐く。
「ほんと笑える~! この広いリビングに炬燵置いて、ぼっちテレビとか」
 竹野が追い打ちをかける。
「やっぱり、宇都宮さん、ワンコですよ。この広さなら、大型犬が似合いますよ」
 相見互いというような顔で須永が提案する。
「ですね~、ニャンコよりワンコ、ほら、千雪さんもハスキーいるんですよ。シルビーって、ちょっと大きめのワンコ、可愛いですよ」
 良太も須永に同調した。
「なるほどね、パートナーはワンコか。でも一人で留守番とか可哀そうじゃない?」
「ワンコの方がニャンコより一緒に動けますよ。まあ仕事だとちょっとあれですけど、千雪さん、よく一緒に連れ歩いてます」
 宇都宮の杞憂に、良太が答える。
「なるほど……」
「あ、そうよ、トシちゃん、ワンコと一緒に散歩に行くじゃない? そうするとワンコ連れの誰かと知り合うチャンスも巡ってくるかもよ?」
 ひとみは自分の思い付きに得意げだ。
「確かに、ワンコ連れ同士とか話はずむよね」
 竹野も同意してワインを飲む。
「宇都宮さんと大型犬って似合い過ぎかも」
 須永が想像を膨らませる。
「そうよね、アフガンとか高貴な感じじゃない?」
「ドーベルマンとかシェパードなんかもいいよね」
 ひとみや竹野が勝手なことを言い始めた。
「おいおい、ワンコはファッションじゃないんだぞ」
 宇都宮は苦笑いする。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村