月の光が静かにそそぐ14

back  next  top  Novels


 銀座の中央通り沿いには海外ブランドの直営店が立ち並んでいるが、いよいよイタリアのトップブランドの一つ、サンドロ・ミランドラまでが進出してくることとなった。
 並木通りについ先日完成したミランドラのビル自体が芸術的で、直営のレストランやティールームも入っている。
 現在ロケをしているドラマとのタイアップで出演者がこぞってミランドラを身につけているのだが、ビルの最上階にあるレセプションルームで行われることになっているプレオープンレセプションには、タイアップを取りつけた工藤にも招待状が届いていた。
 アスカも少し前にそのことを騒いでいた気がするが。
 だがてっきり工藤はそんなものはうっちゃっておくだろうという良太の予想に反して出席し、しかも良太まで連れて行くという。
「あのオヤジ、また何か企んでやがるな」
 キーボードを叩きながら良太は呟いた。
 
 
 
 
「よう、馬子にも衣装ってのはこのことだな、良太」
 まさか一流ブランドのレセプションパーティで、アスカ以外に良太に親しげに声をかけてくるものがいるとは思わなかった。
「昨日のゲームで三振の山築いてたくせに、こんなとこで油売ってていいのかよ、沢村」
「相変わらず痛いところをついてくれるね、良太ちゃん」
 沢村はにやつきながら、良太の着ているスーツのチーフをいじる。
「なるほど、こんなところで待ち合わせてデートとはな。そのためにミランドラなんか新調しちゃって」
「るさいな、俺は仕事だ。このパーティに出るからって工藤に無理やり着せられたんだよっ」
 昨日即行でミランドラの入っているデパートに買いに行った良太は、工藤の言いつけどおり、店員に見立ててもらったスーツ三着の中から、昼にやっと戻ってきた工藤に今夜のこのスーツを選んでもらったのだ。
「いやいや、なかなか似あってるぜ」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ