月の光が静かにそそぐ15

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「お前こそ、やけに機嫌いいじゃん、三振してた割には」
「何とでも言え。この後、飲む約束なんだよ」
 良太ははっと思い当たって場内を見渡してすぐ、佐々木と直子の姿を見つけた。
 池山直子は、昨年独立してオフィスを構えた佐々木の重要なパートナーで、一見ふわっと可愛い系だが、佐々木の仕事のサポートのみならず、佐々木のワードローブコーディネイターと言っても過言ではない。
 そう言えば、と、ドラマのメインCMは代理店プラグインが請け負い、佐々木がクリエイターとして仕事に携わっていたのを良太は思い出した。
 直子曰く、モデル体型だという佐々木は、ミランドラのスーツをすんなり着こなし、その辺のモデルを圧倒して今夜は一段と麗しい。
 沢村にはちょっともったいないくらいだ、と良太は一人頷く。
「そういや、どういう意味だよ、その待ち合わせてデートって」
「とぼけちゃって、この! 市川美由だよ。そういや彼女の親ってどっかの企業の社長だったっけ。逆玉いけるかもよ?」
「うそ…彼女来てるのか?」
 それこそ寝耳に水だ。
 あんな雑誌に載ってしまったことを、彼女に何て言って謝ろうかと思いつつ、その機会がないままになっている。
 週刊誌に写真が載った日、案の定昼休みには妹の亜弓やかおりから携帯にじゃんじゃか電話が来た。
 出ないでおいたら留守電にどういうことだとメッセージが入っている。
 仕方なく、あれは仕事の合間でスタッフも周りに何人もいたのだと、何度も言い訳メールをするはめになった。
「ただでさえ、マスコミ押し寄せてるんだ、気をつけろよ」
「冗談じゃない! ってか工藤、社長、どこ行ったんだよ」
 他にもその手の電話やらメールがあって、良太は思い出してもげんなりなのだ。

 


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