月の光が静かにそそぐ16

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 場内はミランドラのブランドで固めたセレブやら俄かセレブやらでごった返していた。
 レセプション会場に入ったはいいが、早速サンドロ・ミランドラ本人に捕まり、紹介されたものの、そのまま二人は奥へ消えてしまった。
「おや、沢村さん」
「ああ、どうも…」
 沢村こそ大企業社長の御曹司というだけあって、財界人らしき人間に声をかけられているが、本人は途端に渋面を作り、そっけない返事をしている。
 こんなセレブの集まりとか、俺なんか場違いじゃん、と面白くもなく、手持ち無沙汰にグラスを弄んでいた良太は、ふと、こちらも場違いそうな男が一人、壁にもたれて腕組みをしているのを見つけた。
 髭面にどうみても手入れのされてない伸び放題の髪。
 革ジャンにジーンズ、年季の入ったライダースブーツはところどころ色が剥げ落ちている。
 不機嫌そうな顔にきつい視線を宙に向けている。
 何者だろ。
 あまりジロジロ観察していたからだろうか、男と目が合った。
 怪訝そうな顔で良太を睨みつけていたかと思うと、やおら歩き出して、どう考えても良太の方に歩いてくる。
「な、何だよ……」
 実際目の前に立つと長身でがっしりした男は、良太を見下ろして、フン、と鼻で笑う。
「ったく、能天気なツラしやがって」
 低い声がはっきりとそう言った。
「何だ……?!」
 いきなり見ず知らずの男にそんなことを言われて良太はカーッとなり、思わず男を睨みつけた。
 だが、男はすっと良太の視線をかわし、ふいっと会場を出て行ってしまった。
 唐突で不愉快な出来事に、良太はしばしの間、怒りが収まらなかったが、やっと誰かと一緒に戻ってくる工藤を見つけた。
「え、あれって……」

 


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