月の光が静かにそそぐ20

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 うう、きっと性格に難ありってやつだ。いつものパターン。
 監督や脚本家や、嫌ってほどそういう連中とつきあってきた良太は心のうちでため息をつく。
 と、良太のポケットで携帯が振動し始めた。
 取り出すと案の定、KBCでドラマを制作中のやっかいな脚本家からである。
「ちょっと、失礼します」
 良太はせっかく古谷と話せるチャンスなのに、と思いながら会場を出た。
「ハイ、すみません、お待たせ……え? それはちょ……、いや、待ってください、それはやはりちょっと考え直していただかないと………」
 待ってくれよ……!
 心の中で怒鳴りつけながら、今度はあの監督とやるくらいならもう降りる、と言い出した脚本家に必死で説得を試みる。
 廊下で携帯相手に四苦八苦している良太の視界に飛び込んできた人影に、良太は驚いた。
 市川さん……!
 かなり向こうの方にいるが、確かにそれは市川美由だった。だが、彼女一人ではない。
 あ、あれって、さっきの………!
 一緒にいるのは、さっきいきなり良太に不愉快な言葉を浴びせた場違いなライダースブーツの男だ。
 まさか、市川さん、あの男になんか絡まれてるんじゃ……!
「ちょ、とにかく、今、降りるとかあり得ませんから。また、こちらからかけ直しますので」
 強引に携帯をきった良太は、慌てて市川のほうへ歩き出す。
 だが男は市川の前から身体を翻し、市川の方がまるで追いすがっているように見えた。
「え……、何?……」
 不審に思いながら、良太は我に帰り、「市川さん」と声をかけた。
「あ、広瀬さん!」
 市川もようやく良太に気づいたようで、驚いた顔でやってきた。
「何? 今の男、どうかした?」
「え、いえ、何でも……広瀬さんもパーティきてたなんて、ちょっと意外。ブランドとかあんまり興味ないと思ってたから」

 


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