月の光が静かにそそぐ26

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 どうも、写真週刊誌のショットが以前にみた有吉の報道写真と重なってみえて、工藤は消化不良気味なのが嫌だった。
 良太はシャワーを使っているらしい。
 音が聞こえなければまた風呂から引きずり出さなければならないかと思っていた工藤は、やれやれ、と思う。
 一方、気持ちが悪くなって目を覚ました良太は、つい工藤と久しぶりなのに浮かれて飲みすぎたと後悔しつつ、何もかももどしてやっとラクになった。
「ったく、俺って、もったいないことばっかしてるよな」
 自己嫌悪を引きずったまま、ちょっと汚してしまったシャツを脱ぎ捨ててシャワーを浴びた。
 そんな良太の脳裏に、唐突に先ほどの男に言われた言葉が蘇る。
 『能天気なツラしやがって』
 思い出しただけでも腹が立つ。
「何で俺が見ず知らずの男にあんなこと言われなきゃならないんだよっ!」
 だがそこではたと、ひょっとして週刊誌を見たからかもしれないと思い当たる。
「それで、ヤツは市川さんのファンなんだ、きっと」
 そう結論づけてみるのだが、あの男の強い眼差しがまだ気になる。
 それは自信に満ちた、地に足をつけた男の一言だったような気がするのだ。
「ああ、もう、どうせ俺は能天気なガキだよ、チクショ!」
 ぶるっと頭を震わせて近くにあったバスローブを羽織る。
 勝手知ったるで、キッチンの冷蔵庫を開けると、ミネラルウォーターを一本取り出して一気に半分ほどを飲み干した良太は、そっとベッドに歩み寄った。

 


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