月の光が静かにそそぐ8

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 ただライバルというだけなら、こうまで親しくはならなかったに違いない。
 大学を卒業したのち、かたや鳴り物入りでプロ野球界に入って即活躍し、かたや借金を抱えてこの青山プロダクションに入ったものの、しがないサラリーマン。
 もし工藤に無理やり『パワスポ』のプロデューサーなどやらされることがなければ、二人の接点はなかったはずだ。
 それでも、『パワスポ』として取材を申し込んだ際、沢村がすんなり応じてくれるとは良太も思っていなかった。
 あにはからんや、六大学の試合以来で顔をあわせた沢村とは、以来十年来の親友のように本音でつき合う間柄になったのだが。
「ちぇ、自分は何だよ、マスコミ嫌いとか言ってるくせに、前はどっかの女子アナと噂になってたくせ」
 当時は仕事とプライベートは別だからな、などとしゃあしゃあとぬかす沢村も、クールさをおいても甘いマスクと昨今の活躍のお陰で写真週刊誌ではお馴染みさんだったはずなのだが。
 しかしそんな沢村を、その人のためなら野球なんかやめたっていいくらいマジにさせるような相手が現れようとは、良太も思いもよらなかった。
 その相手というのが、広告業界では天才クリエイターと称され、かつ、稀有な美貌の主としてむしろ被写体にするべきとさえ噂される、佐々木周平その人だった。
 元をたどれば、良太と佐々木が仕事で打ち合わせをしていたことが発端となったらしいのだが、沢村が押しまくって何とか佐々木と付き合うことになった後も、佐々木のことでは何だかだと良太に泣きついているものだから、たまたま良太の身に、なんじゃこら、な災難が降り注いでいると知った日には、ここぞとばかり揶揄しないでかという、性根の小さい男なのだ。
「ほお? なかなかのショットじゃないか」
 良太が今度こそぎょっとして振り返ると、いつの間にか電話を終えた工藤が、アスカがテーブルの上に置いていった写真雑誌をのぞきこんでいる。
「そ、それっ! 『パワスポ』の打ち合わせでご飯食べに行って帰ってきたとこですからっ! 他にもスタッフがいっぱい………」

 


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