久々の鍋パは賑やかなものとなった。
「そうなの、あの映画で私も一皮剥けたっていうか」
金子みすゞの半生を描いた映画の話になり、主演を務めた竹野が頷きながら言う。
「自分で言ってるし」
良太が合の手を入れるとみんなが笑った。
「天野ちゃんも『明日は明日』ですごい注目浴びてるよね」
ひとみが天野の話題を振ると、「あれ、天野くん、カッコいいよね!」と宇都宮がすぐに反応した。
「ものを言わなくてもすごい存在感あるって、もうなんか大物感溢れてるっていうか」
「そうそう! 天野さん、今すっごい人気急上昇だよね!」
竹野も声を大にして言う。
いきなり自分の話題になって天野は、苦笑するが、うまく切り返しができない。
「すごいよね! ドラマ、始まったら天野ちゃん人気で若い女子の視聴率もあがるわよ、きっと」
ひとみも竹野と一緒になってすごいを連発した。
「広報部からももう、SNSで天野さん人気爆上がりで嬉しい悲鳴あげてますよ」
そこへ良太も裏方ならではの情報をあげる。
「演技もさ、もうどうにいってるっていうか、芝居好きなんだっけ?」
宇都宮に問われ、「え、ええ、まあ、ほとんどずっと芝居しかやってこなかったんで」とぼそりと天野が答える。
「じゃあさ、何か今度一緒にやろうよ、舞台。天野くん人気でお客さんきっと入ってくれるし」
「やあね、俊ちゃん、人の人気の上に胡坐をかこうとか、まだそんな年じゃないでしょ」
ひとみが歯に衣着せぬ一言を口にすると、「宇都宮さんと天野さんの舞台とか、そりゃもう大入り満員だよね」と竹野が付け加える。
「でも宇都宮さんのスケジュールって数年後まで埋まってますよね」
「ちょっと、良太、夢を壊すようなリアルな発言、やめてよね、プロデューサーみたいじゃん」
良太の現実味溢れる言葉に竹野がすかさず反論する。
「や、でも、いや、なんか……」
「やだ、須永ちゃん、もう酔っ払ったの? 言葉になってないわよ」
「いや、だから、今、ここに集まってる皆さん、なんかすごいメンツだなって、改めて思って」
するとひとみが、「あら、そうね、超人気俳優ばっかじゃないの。もちろんあたしも含めて」と軽くのたまった。
途端、みんなが笑う。
「ちょっと、何でそこで笑うのよ」
口を尖らせて抗議するひとみを見ながら、いや、考えてみればそうだよな、と良太はみんなの顔を見回した。
大物と大物候補揃いじゃんね。
一応、このメンバーには話しておこうと、「えっと、実は俺からちょっとご報告がありまして」と良太が切り出したのは鍋が一段落したところでだった。
「何よ、良太ちゃん、あらたまって、何かあったの?」
途端、心配そうな顔を向けたのはひとみだ。
「心臓に悪いような話は困るけど」
宇都宮も真顔になる。
「いや、そんな大それたことじゃないです。実は来年四月からニューヨークに研修に行くことになりまして」
「え、ウソ! 良太ちゃんいなくなっちゃうの! いやだ!」
悲痛な声で竹野が言った。
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