夢ばかりなる15

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「え、いえ、だから無理なのかな……と。だから千雪さん、いつも、映画になったらもう自分の手は離れるから、って言うんでしょ?」
 素人が何を言うか、とでも工藤は思ったのだろうと、良太はバカにされるのを覚悟で言った。
「うーん、ていうか、映画であれドラマであれ、原作はあっても、それを使ってまた別の作品を創ることやと、思うからな。例えば映画やったら、これが映画の醍醐味っていう表現で創られるし」
 千雪は良太の素朴な発言に対して真面目に答えを返す。
「お前は、千雪の繊細な表現がない映画なんか千雪の作品ではない、とそう言いたいわけだな?」
 イヤミじゃん、それ~
 良太は工藤の言葉にむかつく。
 何も千雪さんの作品にケチつけたわけじゃないのにさ。
「俺はただ……、千雪さんの繊細な描写が映画では消えてしまうのがもったいないかなと……」
「ほう? もったいないってのはつまりできないわけじゃないのにということだな? じゃあ、具体的にどうやってその描写を映画にするんだ?」
「え……、それは、だから…」
 んなこと、俺にわかるわけないじゃん!
「だからなんだ?」
 突っ込む工藤に、良太はますますむっとする。
「その、編集の時、コンピュータで画像処理とかしてイメージを膨らまして……とか」
「だそうだ、良太プロデューサーの意見は参考にしとこう」
 ちぇ、なんだよ、これみよがしに、んなこと言わなくたっていいだろっ!
 工藤の言葉ひとつひとつが、自分をバカにしているように良太には思えてしまう。
 何だか工藤に自分と千雪を比べられているようにしか受けとれず、良太はひがみに走ってしまう自分が情けなくなるのだった。
 

 


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