夢ばかりなる25

back  next  top  Novels


 
 
 
  ACT 2
 
 
 工藤の命により小笠原のCF撮影に立ち会うことになった良太は、翌朝撮影が行われるスタジオに向かった。
 広告代理店プラグインの藤堂を通じて紹介された男は波多野と名乗った。
 老舗の電機メーカー『MEC電機』広報部長の肩書きを持つ波多野は、要点を踏まえながら無駄のない口調で応対した。
 そんなエリート然とした波多野を相手に、いかにして市場を開拓するか、書類だけでなく、藤堂は持参したタブレットでさりげなく納得させていく。
 商品の広告戦略だけでなく、クライアントに対しても相手に合わせた口述戦略を見せつけられ、良太は改めて藤堂という男の見かけではわからない底知れなさを感じた。
「良太、大丈夫か?」
 顔を上げると、ハンディビデオカメラを持った小笠原が見下ろしている。
「何が?」
「何がって、今、すげぇ難しい顔してっから、てっきり具合でも悪いのかと思ってさ」
「そうか? 別に平気だぜ。あ、そろそろ撮影始まるぞ」
 制作会社のディレクターが小笠原を呼んだ。
 小笠原に心配されるなんて、終わりだぞ。
 良太は苦笑いする。
 あ、工藤も夕方から沖縄だっけな………。
「良太ちゃん、どう思う?」
 ぼーっと撮影風景を見ていた良太は、藤堂に意見を求められて、はっとする。
 いかん、いかん、仕事中だぞ!

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ