夢ばかりなる26

back  next  top  Novels


「え……っと、あの、そうですね、コンセプトは商品の正統性、ということですが」
 広告対象商品であるハンディビデオカメラを持った小笠原を撮影し、あとでCGと合成する。
 見せてもらったCGのラフと今撮影したばかりの小笠原を、モニターで見ながら良太は続けた。
「え……っと、あの、そうですね、コンセプトは商品の正統性、ということですが」
 広告対象商品であるハンディビデオカメラを持った小笠原を撮影し、あとでCGと合成する。
 見せてもらったCGのラフと今撮影したばかりの小笠原を、モニターで見ながら良太は続けた。
「イメージだけみると、タレントの表情が少し気になります。最初から最後まで真面目で引き締まった小笠原というのがちょっと……。小笠原を使うのであれば、いつものちょっと人をくったような表情の絵とかも入れてみたらどうかと思うんですが」
 口に出してみるとさっきから漠然と感じていた違和感が何なのかがわかる。
 小笠原が小さく見えるのだ。
『それじゃ、アスカを使う意味がない。こいつがそんなしおらしいタマか! 見てる方はアスカだから見るんだ。アスカ、いつもの何様な態度はどうした?!』
 以前、工藤と一緒にアスカのCM撮影に立ち会った時のことだ。
 工藤に言われてアスカはプンプン怒ったが、それでも撮影された絵は生き返ったようだった。
 小笠原というキャラが消えてしまったら、小笠原を使う意味がないのだ。
「なるほどなるほど、さっすが良太ちゃん!」
 藤堂は大仰に良太を褒め倒し、波多野やディレクターにすかさずどの絵をどう変えるかざっと説明しただけで、再び撮影に入る。
 何だかな、と即座に判断してさっさと進めている藤堂を見つめながら、良太は思う。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ