夢ばかりなる38

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    ACT 3
 
 
 明確に狙われているとわかったのは、夜九時を過ぎ、工藤は第三京浜を横浜へと車を飛ばしていた。
 おそらく、千雪を連れ去ろうとした連中だろう、バンパーもへこんだサンダーバードに半グレ風の若い男が数人乗っている。
 運転している男はかなり運転に自信があるらしい、工藤の車にガンガンぶつけてくる。
 ゴルフのクラブを振りかざした男を後ろに乗せたバイクが工藤の車のすぐ横についた。
 と思うや、ガシャン、と後ろの窓ガラスが割れた。
 天井もバシンバシンと殴りつけてくる。
「ざけやがって…」
 自分では手を汚さず、荒い仕事は下っ端の下っ端にやらせているのだろう。
「胸クソ悪いやつらだ」
 工藤はアクセルを踏む。
 だがバイクも車も派手にクラクションを鳴らしながら、しっかりついてくる。
「俺を甘く見るなよ」
 工藤は車体を左右に振りながら、バイクからガードした。
 スピードを上げ、隣を走るトラックを追い越そうとして、過積載気味のトラックからはみ出している鉄骨に気を取られたその時、バイクが追いつき横を走りながら、後ろの男がクラブを叩きつけた。
 思わず頭を下げた拍子に、車体が大きく揺れる。
 分離帯にぶつかる寸前でハンドルを切り返す。
 クソッ!
 とにかく振り切るしかないとハンドルを握り直した工藤は、前を睨みつけるように見据える。

 


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