夢ばかりなる40

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「俺の傍なんかにいない方がいいんだ」
 工藤を抹殺しようとしているのが誰なのか、まだわからない。
 だが、「獅子身中の虫」がいるらしいことだけはつきとめたと、『T』は、工藤が電話をかけるのを待ち構えて言った。
「よかったですね、良太が一緒じゃなくて」
 電話を切る間際、『T』は言った。
 工藤を襲ってきた男のうち、バイクの二人は即死、車の数人も重症を負い、入院したと、『T』は工藤の問いに対して淡々と答えた。
 わざとバイクを転倒させたのなら恐ろしいと工藤は思う。
 だが、『T』自身も部下も、アメリカでそれなりの訓練を受けたと聞いている。
 ありえない事ではない。
 工藤の車は既に『T』が手をまわし、修理に出ていた。
 工藤は幸いにも怪我はなかった。
 ベンツがなくても、良太は気づかないだろうと思ったのは浅はかだったかもしれない。
「工藤さん、車、どうしたんですか?」
 タクシーで降り立った工藤を見咎めて、偶然居合わせた良太が聞いた。
「オイル交換のついでにメンテに出したんだ」
 咄嗟にでまかせを言ったが、良太は訝しげに工藤の後姿を睨みつけた。

 


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