夢ばかりなる43

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「あのな、ほんまに大事な人を危険にさらしたくない、いう男心、お前かてわかるやろ? いつか、お前が工藤の身代わりみたいに刺されて生死さまよった時、工藤さん、どんな想いやったか考えてみ?」
「あれは、俺が勝手に……」
「にしたって、工藤さんを狙った犯人に刺されたんやからな」
 千雪は念を押すように言った。
「自分のせいで大事な人がどうにかなるの、身を切られるように辛いんや、あの人は」
「だから工藤は千雪さんを……」
「ええ加減にせいや!」
 千雪が声を上げたので、周りの学生がチラリと二人を見た。
 千雪は一呼吸おいて、続けた。
「ええか、これっぽっちも辛い目にあわせとうないから、お前になんも話さへんのんやろ」
「けど……」
 良太は唇を噛み、こみ上げる涙をじっとこらえる。
「それがほんとのことでも、そんなのただの自己満足じゃん。俺は……工藤のために何かしたいのに……何もできなくても、話してくれたっていいだろ? 危険なことなら、なおさら、俺はほっておけねーよ……万が一って思うと、不安で不安で……怖くて………俺……」
「良太…」
 千雪はカフェテリアを離れ、停めてあるレンタカーまで良太を連れていった。
「わかったから、良太、な。俺も工藤さんがお前のことほんま大事にしてるから、言わんかってんけど、やっぱ俺からやのうて、工藤さんから話してもらわんとな。お前の気持ち、工藤さんもわかってくれるて。せえけど無茶はしいなや?」
 とくとくと諭す千雪にコクリと良太はうなずく。
 良太がエンジンをかけると、コンコンと千雪が窓を叩いた。

 


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