「良太のやつ、一体どこへ行ったんだ?」
慌てたようすでオフィスに飛び込んできた工藤は、いらいらとタバコをふかしていた。
鈴木さんに聞いても、良太は出かけたというだけだ。
下柳と打ち合わせだ、朝顔をあわせてスケジュールを確認した時、良太はそう答えた。
「あのやろう、最近、別行動なのをいいことに」
良太を危険に巻き込みたくない、それでまだ無事だったジャガーもここのところ工藤自身が動かしていた。
ベンツは襲われて入院している。
良太がもし隣にいたらと思うと生きた心地がしない。
そんなことを考えていた矢先、たまたま工藤が下柳に出くわしたために、良太の嘘が発覚した。
今までにも何度も良太は無茶をしている。
しかもご丁寧に携帯を切っているのだ。
「あのやろう」
そうしている間も、次の打ち合わせの時間が迫る。
「もしあいつが帰るか、連絡が入ったら、即俺に電話しろといってくれ」
ちっと舌打ちして、鈴木さんに言い渡すと工藤はまたオフィスを出た。
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