夢ばかりなる5

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 少年時代から良太とバッテリーを組んできた幼馴染の飯島肇から飲みに行こうという誘いが入ったのは、そんなある日のこと。
 高校時代は野球部の主将を務め、直球一直線で融通の利かない良太をあやしながら、力の足りないなりに部をまとめてきた面倒見のいい男である。
 良太の家族が住み慣れた町を離れざるを得なくなってから、連絡を取っていなかった良太を水臭すぎると怒る肇と、良太がCMに出たことがきっかけで再会してからは、たまに時間をみつけては飲みにいったりしている。
 さすがに師走ともなれば、お互い忙しいサラリーマン同士だが、何とか時間を作って忘年会という話になった。
 かおりも誘って、という肇に、くさくさしていた良太は、わかった、十二月最初の週末あたりで、と電話を切った。
 何をくさくさしていたかといえば、忙しいのは今に始まったことではないが、ここのところ単独で動くことが多く、良太に何も聞かせないぞ、というような工藤の態度に対してである。
 怪我をして帰ってきた時は驚いたが、ぶつけられた以外は語ろうとしない。
 ああそうかよ、勝手にしやがれ!
 心の中で悪態をついてみるのだが、工藤への心配が消えるわけではない。
 同時に嬉しいこともあった。良太プロデュースによる番組が新年早々放映されることになったのだ。
 プロチームの若手スラッガーだけでなく、社会人やクラブチームにも密着取材し、ディレクター下柳の目線がものを言う、質のいい番組に仕上がっている。
 もちろん、スポンサー側の求める華、関西タイガースの人気スラッガー沢村も画面の中でしっかり気を吐いていた。

 


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