夢ばかりなる7

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「なんだあ? 俺の酒が飲めないっての? お前、忘れたわけじゃないだろうな? お前が頼むから、番組出演OKしたんだぞ」
「あ、こんな席でそういうこと言う?」
「お前、世のサラリーマンが何で飲めない酒を飲んで、接待なんてものをしてると思ってんだ?」
 そうくるか、と眉をひそめる良太の肩に腕を回して、沢村は酒臭い息を吹きかける。
「なあ、肇、お前ならそこんとこよおくわかってっだろ? この能天気なぼっちゃんに言って聞かせてやれよ」
 肇も良太も、野球を介して沢村とは子供の頃からのつきあいだ。
 しかも同い年だから、こうやって一緒に飲んでいるうちは沢村がプロの花形プレーヤーであれ、沢村は沢村だ。
 良太と沢村に至っては学校が違ったのにここまでつかず離れずというのも珍しいかもしれない。
 もっとも昔から、俺は一番強い、というようなことを豪語する沢村は、肇としてもやはり鼻持ちならない気もするのだが、それもちゃんと有限実行で活躍しているのだから、認めざるを得ない。
 しかも強いとは言ってもえらぶるところもなく、むしろ好感が持てる。
 だからと言って、かおりがこの男を好きになってもいいということにはならないだろう。
 例えどんないい奴であっても、かおりを球界のモテ男なんかの餌食にされてたまるか。
 肇は一人拳を握りしめていた。
「誰が能天気なぼっちゃんだ、だれが! 第一、お前、オフにはアメリカに行くんじゃなかったのか? 向こうでチーム作るんじゃなかったのかよ」
 一人物思いにふけっていた肇はいきなりの良太の発言にはたと目を見開いた。
「え、それ、ほんと?」
「お前が俺を振るからだろ」
「ええええええ、二人はそーゆー仲だったのぉ?!」
 かおりが耳ざとく割って入る。
「そんなことくらいでやめちまうような気合いの入れようなら、やらない方がマシだ」
「………おい……お前ら、そんなこと、こんなとこで言っていいのか」
 二人の言い争いに、嬉々として合いの手を入れるかおりの横で、肇は固まった。

 


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