夢ばかりなる8

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「誰がやらないなんて言ったよ、準備は着々と進んでる。そのために知り合いと会社も作って、他のプロジェクトも考えてるとこだ」
「……へえ、そうなんだ」
 沢村という男がクレバーだということは、良太もいやというほど知っている。
 子供の頃から良太とは何かにつけて火花を散らし、熱くなって殴り合いの喧嘩になったことも一度や二度ではない。
 だが、折に触れて、子供にしては非常に冷めたところがあるのを良太は知った。
その行動には計算されたものがあるのだということも。
番組を通じて再会してからも、沢村が尊敬する名監督のデータを重んじた理論に共感し、実際、沢村のノートパソコンには各選手から監督やコーチに至るまでびっしりデータにされていた。
だからこそ、会社を作るというのも、沢村ならば今更驚くことでもないのだ。
「そうだ、日本でもチーム作ろうぜ」
「そんな思いつきで作ったチームなんかすぐつぶれるに決まってる」
 良太は沢村にくってかかる。
「つぶれるもんか。お前がいればな。日本なら、文句はないだろ」
 何だ、そういうことか、と目を白黒させていた肇は一安心する。
「いや、そうじゃない、そんな重要なこと、こんなとこで話していいのか?」
 我に返って、今度は肇は二人をたしなめようとする。
「いいんだ。もう球団側には公言してる。実のところ、俺は今のところスーパーバイザー的な位置でしかないけどな」
 沢村はへらっと笑う。
「そうなのか」
 肇は説得力のある沢村にうなずいた。
「まあ、日本にチームを作るといっても、プロ球団とかじゃなくて、野球の好きな奴集まれ、みたいな。子供でも大人でも、広く門戸を開いて野球やろうぜ、ってな」
 それを聞くと良太も思わずぐっとくるものがあった。

 


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