お前の夢で眠ろうか 13

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 よもや自分の身内関係でやられたのではという考えも頭をかすめた。
 だが良太が家の事情で夜のバイトをしているらしい、と鈴木から聞き出し、良太の手帳を勝手に調べてバイト先に怒鳴り込んだ。
 ここのところやつれてきた良太に、何かあるとは思っていたのだ。
 良太に『もっと実入りのいいバイト』を斡旋した男は簡単に突き止めたが、良太をぼこぼこにした肝腎の客の名前はどうしても口を割らなかった。
 良太のアパートに行ってみれば、鈴木の話していた〝良太の家の事情〟が数人屯していた。
 キャッシュで全額支払を済ませて借用書を受け取ると、ひと睨みして金融業者の事務所を後にした。
 とっさにそんなことをしてしまったのは、社員だからという理由では説明がつかないだろう。
 普段はブツブツ文句を言いながらもちょこまか一生懸命動いている能天気そうな良太が、実は身体を売ってまでも家族のためになんとかしようとあがいているそのいじらしさに突き動かされたのだろうか。
 工藤は今更ながらに自分のとった、非常にらしくない行動に苦笑せざるを得なかった。
 退院した当の本人は、何とあっけらかんとしたことか。
 女の子ではないし、それほどショックもないのだろうか。
 一回り以上も年の違うような連中相手だと宇宙人と話しているのかと思うことが多々ある。
 近頃の若者の行動について考え始めると、イマイチぐるぐるしてしまう工藤だった。
 

 


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