お前の夢で眠ろうか 18

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    ACT 2
 
 
 初めに工藤にかかってきた怪電話を取ったのは良太だった。
『お前を殺してやる。覚悟していろ、工藤』
 良太を工藤と思い込んだらしい。良太は驚いて工藤に確かめた。
「ここ何回か、そんな電話を受けたな。そんなものにびびってたら仕事はできない。気にするな。何が起きたわけでもないし、動揺するから他の誰にも言うなよ」
 工藤宛の差出人のない手紙の中身も、声を加工した電話の内容と同じものである。
「工藤さん、何か心当たりないんですか?」
「ありすぎてわからない」
 工藤は鼻で笑う。
「やっぱ警察に届けましょう!!」
「警察は事が起きてからじゃなきゃ、動かねぇんだよ」
「そんな悠長なこと言って、事が起きて、何かあってからじゃ、遅いじゃないっすか!」
 良太は必死で言い募るが、
「気にするなと言ったはずだ。お前はとっとと自分の仕事をしろ」
 と工藤は全く取り合おうとしない。
「ったくあんのガンコオヤジ!」
 しかし、ハイ、そうですか、と簡単に引き下がれる問題じゃない。
 差し当たって思いつくのは、工藤に夢中になって追い回しているという田所夫人関係だ。
「田所代議士は夫人の行動くらいとっくに知ってるんじゃない? 元々政略結婚だし、お互いに納得して愛人作ってるってやつだな。いやだね、政治屋の世界って」
 それとなく秋山に尋ねてみたが、それではわざわざ脅迫する程の必要性がない。
 勢い込んで聞いた良太はがっくりした。
 気になって仕方がないのだが、仕事は良太を放っておいてはくれなかった。

 


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