お前の夢で眠ろうか 21

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 誰かがもみあっている。
 よく見ると工藤が誰かに首を絞められているではないか。だがその男の顔が分からない。
「工藤さん! きさま、誰だ! 工藤さんを離せ!」
 駆け寄ろうとするが、身体が何故か動かない。
 あ、駄目だ、工藤が危ない!
「工藤さん!」
 もがきながら目を見開くと、白い天井がそこにあった。
「何をひとりで騒いでるんだ、このバカが」
 目をぱちくりさせる良太を工藤が怒鳴りつけた。
 良太の痩せた腕にくっついている点滴の管が痛々しい。
 元々痩せてはいたが、こんなになるまでどうして気づかなかったのかと工藤は自分が苛立たしくてならない。
「今度は、栄養失調になるような、何があったんだ?」
 工藤はジロリと良太を睨みつける。
「二度と世話をやかすなと言ったはずだが、きさま、もう忘れたのか?」
「め……滅相もない…」
 良太はギクリと肩をすくめる。
「芝居がかった台詞はやめろ! 今度は食いもんを削ったな?」
 例え給料からいくらかは引いたとしても、食えない程の額じゃないはずだ。
「妹が学費を滞納して、それでそのまま大学辞めるって言い出して、取り敢えず手持ちを大学に送ったので……」
「食ってないわけだな?」
「いえ、……朝と晩はちゃんと…」
「碌でもないもの食ってたわけか?」
 工藤は声を荒げる。
 全く、こいつときたひには、何をやらかすかわかったもんじゃない。
 工藤は首を振る。
「食費は経費で落とすから、レシート持ってこい」
 良太は驚いた。

 


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