お前の夢で眠ろうか 24

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「訴えてやってもいいが、俺の身内が中山会の組長だってこと、知ってるのか?」
 唸るように低い声が良太の耳にも届く。
「…工藤…さん……どうして…」
 まさかつけてきたのか?
 良太はその場で硬直する。
 男は竦み上がり、声も出せない。
「金輪際、こいつに手を出そうなんて考えないこった。…行け!」
 工藤が突き放すと、男は転がるようにして雑踏の中に消えた。
「あの…」
 良太は口を開きかけたが、工藤は力任せに良太の腕を掴むと、ぐんぐん早足で歩いていく。
 何も言おうとしない工藤の横顔から、今まで見たことがない怒気を感じて、良太も口を噤む。
 めちゃ、怒ってる…感じ…
 まるで連行されるような面持ちの良太を近くに停めてあった車のサイドシートに押し込めると、工藤は車を急発進させた。
「そんなに男が欲しいのか」
「へ?」
 良太は工藤を振り返る。
「カードは渡してあるんだ。金に困ることはないはずだ」
 工藤の断言的な物言いに、良太もカチンとくる。
「俺はただ、会ってはっきり断ろうと…」
「わざわざ会ってやってな。ついでにホテルまでつき合ってやるつもりだったのか」
 工藤の苦々しい笑みからは残忍な気配すら窺える。
「だから断ろうと思ったんですっ…」
 工藤はそんな良太の言葉を頭から信じていないようだった。
 だからって何考えてるんだよ…
 工藤の行動が読めない分、良太の心の中で不安が募る。
 良太の緊張が車内の空気まで硬くした。

 


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