お前の夢で眠ろうか 30

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 悔しいけどひよっこの自分では太刀打ちできなさそうだ……ガチで映画スターでもいけそう……クソッ!
「飲むか」
 ま、こんな横暴なヤローじゃなけりゃだけどな!
 呑気そうにぼんやり考えていた良太は我に返り、目の前に差し出された褐色の液体が入ったグラスを受け取った。
 身体中の神経が過敏になっている。
 ベッドに戻ってきた工藤の身体が腕に触れた途端、良太はぞくりと身を竦ませた。
 起き上がろうとすると身体のあちこちが悲鳴を上げたが、枕に背を凭せ掛け、良太は破れかぶれで強い酒を一気に飲み干した。
 このベッドで、工藤はどれだけの女たちを抱いたのだろう。
女だけではない、あの綺麗な人―――。
 良太は工藤の横からサイドテーブルに置かれたボトルの1738と書かれたラベルをぼんやりと見ていたが、ふいに怪しい思いにかられ、その向こうにある壁に視線を漂わせる。
 近年飾られたらしいビュッフェのつんつんした風景画がクラシカルな部屋に不思議と馴染んでいる。
「結構いい声あげてたんで、初めてとは思わなかったぞ」
 耳元で唐突に恥ずかしい台詞を言われ、良太は頭が沸騰しそうになる。
「こんなの、こんなの、セクハラどころか犯罪じゃないですかっ!」
 男は始めてではないつもりだった。
 ぼこぼこにされて、散々な目にも合った。
 しかし、幸か不幸か後ろは清らかさんだったのだ。
 だいたい、あんな、あんないやらしいことはされなかった!
「親告罪だぞ? いくら阿呆でも法学部に四年もいたんだ。そのくらい、覚えているだろう。ああ、訴えてもいいが、その時は耳を揃えて金返せよな」
 スパーッと煙を吐いて工藤はニヤニヤ。
「きったねー、シャチョー!」
「ベッドの中で、その、シャチョーっての、やめろ。それこそセクハラしてる気分になる」

 


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